「わかってもらえない」スパイラルに陥いらないために

「わかってもらえない」スパイラルに陥いらないために

自分の思いを伝えるためには

「周りに気軽に相談できる人がいない」「言っても伝わらないし、余計に立場が悪くなることもあるので何も言わないほうがまし」という声は、職場でもコミュニティでも多く聞かれます。特に、人間関係がうまくいかないと感じる方の中に、このように、自分の気持ちや意見を言うことをためらう傾向みられます。たくさんの思いが渦巻いているのに、伝えること自体を諦めてしまっているのです。その理由は、自分の意見や気持ちを言っても「ちゃんと聞いてくれない」「どうせわかってもらえない」という気持ちが強いからです。
日本には、「察する」という奥ゆかしいやり取りがあります。
言わなくても相手が気持ちを推しはかったり、やんわりと態度や表情からくみ取るというものです。
確かにこういった言葉以外のやり取りも大切なのですが、よく知り合った間柄でも、なかなか以心伝心とはいかないものです。
ツーカーという言葉あるように、相手とのコミュニケーションが言葉を介さずとも伝わるというのは、理想的ではありますが、かなり難しく、特に仕事場の人間関係となればなおさらです。
ただでさえもわからないところに加え、言えないタイプの人は、「察して欲しい」という気持ちが強く、期待する傾向が強まることがあります。現実問題としては、かなり難しい要求です。ですから、やはり自分から発信していくことは必要不可欠なことなのです。

伝えてもいないことを、相手が受け取ってくれるはずはありません。「いつも」「誰にも」わかってもらえないと常々感じる人は、伝え方の工夫が必要かもしれません。
自己主張をはっきりしなかったにも関わらず、「わかってもらえない」というのは、わがままです。しかし、頑張って伝えてみたにも関わらず、期待した返答がないことが重なってしまうと、自ら意見を言うこと自体を「自分が傷つく行為」と認識してしまう傾向があります。
ようするに、「相手に伝わるように言わない」→「わかってもらえない」→「傷つく」といった負のスパイラルに陥ってしまうのです。
その結果、どんどん「言いにくく」なり、最終的には、「言うこと」を諦めてしまい、不全感や不満は、心の中にため込んだままになってしまいます。
相手に問題がある場合もあるとは思いますが、それだけではなく、
「自分の自己表現の仕方」「相手にわかる主張の仕方」に問題があることも視野に入れましょう。
では、どのように伝えたらよいのでしょうか。

文末まではっきりと伝える

日本語は、最後まで聞かないと、「YES」か「NO」かを判断できない言語です。ですから最後まではっきりと発音する必要があります。自信がないとどうしても語尾が小さく、うやむやになりがちですので、最後まで、はっきり言い切るようにしましょう。
また、遠慮がちに回りくどく言わずに、結論を先に言うことも大切です。

表情と内容を合致させる

人との関わりの中で、多くの情報量を占めるのが、表情です。褒めているのに無表情だったり、怒っているのに笑っていたりなど、伝えたい内容と表情が一致していないと、相手は、どう受けとってよいか混乱し、正確な思いを受け取れなくなります。
ですから、表情と伝えたい内容を合致させることが大切です。
しかし、この表情を一致させることは意外と難しく、自分では笑っているつもりでも、ひきつってしまったり、真剣なあまりに怖い表情になったりという場合もあります。
自分の表情は、よくわからないもの。時折、スマホの動画でとってみたり、鏡で確認するのも良いでしょう。
メールだけで終わらせない

伝えたいことはあるけれど、お互い忙しくて、なかなかタイミングが計れない。直接言うのに勇気が出ない、そんな時は、メールも便利です。ただ、メールは、表情も音調も伝わらない無機質なものなのです。そうすると読んだ時の相手の状況や、心情に大きく影響されます。また、最後まで、読んでくれるとも限りませんし、飛ばし読みをされてしまうかもしれません。特にマイナスの用件では、行き違いが生じてしまうリスクは高まります。手軽ではありますが、そのあとに、直接話すなどのフォローを入れるなどして、メールだけに頼ることは避けたいところです。まずは、メールできっかけをつくることは良いのですが、思いや意見を伝えたいときには、補助ツールとしての使用が理想的です。

自己主張と自分勝手は違う

自分の意見を言うことにためらいを感じる人の中には、それに対し「わがまま」と捉えられないか、「自己主張が強い」と悪くとらえられないかを極端に心配する人たちがいます。
しかし、自分の意見を言うことは、相手を押しのけたり、傷つけることとは違うのです。
ものの考え方は、人それぞれ、基準や価値観も違います。我慢して、苛立ちや怒りを覚える前に、その都度伝えて、小さなすれ違いや勘違いを、修正していくことが理想的な関わり方なのです。遠慮せずに伝えてみることが大切です。
「どうせ伝わらない」との思いを確立する前に、少しの工夫と少しの勇気を出して相手と関わってみましょう。

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