「負の感情」のとらえ方 ~言いにくいことを伝えるスキルを身につけよう~

「負の感情」のとらえ方 ~言いにくいことを伝えるスキルを身につけよう~

自分の気持ちをストレートに伝えることは、なかなか難しく、多くの人が感情を抑え込んで苦しんでいます。
「嫌だ」「苦手」という思いがあるにも関わらず、本当の自分の気持ちを常に覆い隠しているうちに、自分の気持をつかみにくくなっていきます。
特に、協調性のある人ほど注意が必要です。社会生活において適切な協調性を持つことはもちろん大切ですが、自分の気持ちよりも相手を優先させる傾向が過度になると、強いストレスを感じて、生きづらさにつながっていくことになりかねません。

ストレスを感じていないことは鈍化のサイン

「あまりストレスを感じない」という人も要注意です。生きていれば、楽しいこと嬉しいことがありますが、悲しいこと、辛いこともまた多いものです。それらを全く感じずに、「ストレスを感じない」ということは不自然であり、自分の気持ちに鈍感になっているサインだとも言えます。

日本人は、「悟る」という言葉が好きで、何事にも動じないことを良しとする傾向がありますが、常に冷静であることが良いことではなく、時として、怒ったり、悲しんだりすることは必要なのです。理不尽なことをされたら腹が立つのは当然ことですし、とても悲しいことがあれば泣くこともあるでしょう。喜怒哀楽があることは、人間である以上自然なこと。その喜怒哀楽を無視し続けることは、感情を鈍らせることにつながるのです。

やがて、感情の抑え込みが常態化すると、怒りや悲しみだけでなく、楽しさや嬉しいという感情まで感じにくくなってしまいます。「本当は嬉しいはずなのにあまり喜べない」「みんなが楽しんでいるのに自分だけ疎外感を感じてしまう」などが典型的な例です。

自分の気持ちを大切に

それでは、自分の気持ちを自分で把握するためにはどうすれば良いでしょうか。日常の生活の中で、「自分の気持ち」に耳を傾けることをしてみましょう。
例えば、「この場所は嫌いだ」「これをしていると楽しくてワクワクする」「この言葉に心が揺れる」など、日常生活の中で起こる些細な気持ちの変化に対して意識的に向き合ってみるのです。
最初は、わざわざ自分の感情を確認するなど、ぎこちなく感じるかもしれません。しかし徐々に慣れていきます。そのうちに、あえて確認しようと思わなくても、自然に自分の気持ちを受け止められるようになってきます。

自分の思いを上手く伝えるために

円滑なコミュニケーションのためには、まず、自分自身が自分の気持ちをしっかりと把握することです。自分自身でさえ、きちんと捉えられない気持ちを人に伝えることなど不可能だからです。

気持ちを把握したら、次には伝え方が問題となります。一般的に、プラスの感情よりもマイナスの感情を相手に伝えることは難しいですよね。
社内や取引先とのやり取りの中で、マイナスの意思表示が行えず、「いやだな」と思いながらもぐっと我慢したり、笑ってごまかしてしまうようなことがあります。しかし、常にそのような態度をとっていると、相手は、「受け入れてもらえた」などと勘違いを起こしやすいものです。
こんなことをできるだけ避けるためのポイントは、「いやだ」「つらい」「不満だ」「傷ついた」などの感情に気がついたら、できるだけ、その気持ちが小さい段階で相手に伝えることなのです。

「アサーション」という、コミュニケーションの手法があります。アサーションは、一方的に自分の意見を押し付けるのではなく、かといってひたすら我慢するのでもなく、相手と自分を尊重して適切な自己主張をしていくことです。アサーションを一気に取得するのは難しいですが、ここではその初歩的な方法をお伝えしましょう。

まず何よりも、嫌な気持ちはマイルドなうちに伝えること。
「なんとなく嫌だ」「少し気になる」「少し辛い」「ちょっと好きじゃない」というような段階です。まだ気持ちにゆとりがあるので、口調や表情は穏やかであり、適切な表現や言葉を使うことができます。

ところが、多くの人は、「このくらいのことは言わなくてもいいだろう」と放っておいたり、「ここはちょっと我慢しておこう」と気持ちを押し込めてしまいます。これだと何も意思表示をしていないことになるので、相手にはあなたの気持ちはまったく伝わりません。

次第に、「腹が立つ」「しんどい」「理不尽だ」といった状態に気持ちは膨らみます。こうなると、感情が先行してしまうため、自分の気持ちを穏やかに伝えることはなかなか難しくなります。

さらに我慢をし続けると、「許せない!」「顔も見たくない!」
といった状態になります。もう、この時点で冷静に伝えることは、ほぼ不可能です。ですから、怒りや嫌だという感情は、できるだけ小さく、マイルドなうちに伝えることが大切なのです。

「言いやすいことを言いやすい相手に」から始めよう!

しかしそうはいっても、最初から、自分の言いにくい気持ちを言いにくい人に、言おうとしても無理な話です。まずは、言いやすいことを言いやすい相手に、伝えるトレーニングからスモールステップで始めましょう。コミュニケーションは、場数が大切です。
自分の気持ちに敏感になって、ちょっと気になる気持ちを見逃さずに、しっかり気持ちと向き合ってみてください。そして、「このぐらいのこと言わなくてもいいや…。」と抑え込まずに、気になることから伝えてみましょう。少しずつでも自然に自分の気持ちが伝えられるようになるのを目指しましょう。

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