「言った」「言わない」で不信感を生まないためにできること  ~人の話は半分以下しか聞けていないこれだけの理由~

「言った」「言わない」で不信感を生まないためにできること  ~人の話は半分以下しか聞けていないこれだけの理由~

みなさんは、こんな経験をしたことがないでしょうか。きちんと伝えたのに、相手から「聞いていません」と言われた。反対に、相手から「この前、言いましたよね?」と言われて、まったく聞いた覚えがない。などという経験です。日常生活のなかで起こりがちなこの状況、信頼関係を崩壊させる重大な問題です。「言った、言わない」といった論争は、相手への不信感を強めてしまう由々しき事態なのです。では、これを防いでいくためには、どうしたらよいのでしょうか。それを原因と共に紐解きたいと思います。

まず、こういった状況を作り出してしまう理由は、3つあります。
~人の話が半分しか聞けない3つのワケ~

  • 1.過去の記憶や経験が蘇る
  • 2.感情が湧き上がる
  • 3.相手への対応を考える

聞くを遮る3つの原因

過去の記憶や経験が蘇る

あなたが知人から「この前行った、○○の焼き肉が美味しかった!」という話を聞いたとします。その話を聞いた瞬間、焼肉の映像が脳裏に浮かんだりすることがあると思います。これは、話をきっかけに過去に経験した記憶がよみがえる現象です。全く同じ経験がなくても、類似した経験の記憶が蘇ったり、実際に経験していなくてもTVや写真で見たものを思い出すこともあります。その瞬間、あなたの意識は相手の話ではなく、自分に向いています。

感情が湧き上がる

「Aさんに、こんなことを言われてムカついた!」という話を聞いたとします。あなたもAさんに嫌味を言われて腹を立てた経験があった場合などに「わかる!」と相手に同感する気持ちが湧き上がってきます。
また、Aさんを知らなかったとしても、似たような状況を経験していたら気持ちが動きます。このとき、意識は自分に向いています。更に、自分の過去の思いや状況を思い浮かべてしまうと、一瞬ではなく、しばらくの間、自分に意識が向きっぱなしにあることもあります。表面上うなずいているだけで、頭の中では自分のことを考えている状態は良く起こる現象です。

相手への対応を考える

人と会話をしている時、話を聞きながら、相手に対して何と反応しようかと常に考えています。相手への対応と言葉選びを瞬時にしているこのときも、意識は自分に向いています。
 以上のことからわかるように、私たちは、人の話を聞きながらそれをきっかけに、自分の記憶や気持ち、そして相手との対応に心が向いてしまう瞬間があり、相手ではなく自分に意識が集中してしまう状況がつくり出されます。
きちんと話を聞いている「つもり」でも、相手の話を聞き逃している瞬間がたくさんあるのです。それを、本人は自覚できません。そのため、「言った」「言わない」「聞いていない」といったトラブルにつながり、相手への不信感を生むことになってしまうのです。

伝えたいことは遠慮しないで確認すること

 このようなトラブルを防ぐには、「確認を怠らない」ことが重要です。相手に必ず伝えたいことは、繰り返しの確認が必要です。しかし、この確認作業、大人になればなるほどやりにくくなります。なぜなら、
「一度、言えばわかるだろう」「何度も言ったら失礼かも」
という思いが、お互いに生じるからなのです。
世間話などであれば、相手の言ったことを忘れても、それほど大きなトラブルにはなりませんが、重要なことや約束事はそうはいきません。必ず確認するようにしましょう。特に、ビジネスでの人間関係では、遠慮は禁物です。それがミスにつながり、大きな損失を生むこともあります。事故やトラブルを防ぐためにも確認をすることが大切なのです。
 そして、危ないのが「たぶん大丈夫だろう」「伝わったはずだ」と思い込むことです。日本人には、「察する」という文化の中でやり取りをしているので、どうしても「そこまで言わなくてもわかるだろう」という気持ちが生まれがちです。実際は、真意が伝わっていないことの方が多く「そんなつもりじゃなかった」なんてことが後になってわかるのです。
具体的に事実をきちんと確認することで、相手から信頼がおける人間だと認識されるきっかけにもなります。
100%の相互理解は難しいですが、それに近づけていくことはできます。人間関係を築いていくなかでのマナーとして、「言葉に出しての確認」をお互いに実践できるといいですね。

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